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相続した家は売るか貸すか?判断基準と注意点を解説

不動産相続

新里 敏春

筆者 新里 敏春

不動産キャリア6年

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相続した家を前に、売るべきか貸すべきか、あるいは自分で住むのか決めきれず、時間だけが過ぎていないでしょうか。
事情があって取得した不動産は、判断を先送りすると管理負担や固定資産税の負担が重くなり、気付かないうちに資産価値が下がることもあります。
一方で、安易に売却してしまうと、将来の住まい方や家族の意向、相続税や所得税への影響を後悔するケースも少なくありません。
そこでこの記事では、相続した家を売るか貸すか判断するための基準を整理し、収支の考え方や税金・特例のポイント、そして相続や離婚など事情別の検討フレームまで、段階的にわかりやすく解説します。
最後まで読み進めることで、ご自身に合った方針を冷静に選べるようになるはずです。

相続した家を売るか貸すかの基本選択肢

相続した家には「売る」「貸す」「自分で住む・保有する」という大きく分けて3つの選択肢があります。
売却は早期にまとまった現金を得やすく、管理負担をなくしやすい方法です。
賃貸は家賃収入を得られる一方で、入居者対応や修繕などの継続的な管理が必要になります。
自分で住む・保有する場合は、生活の拠点として活用しながら、将来の売却や相続の方針も見据えた検討が重要です。

相続や離婚など事情がある場合は、心身の負担が大きく、つい不動産の判断を先送りしがちです。
しかし、方針を決めないまま放置すると、誰も住まない空き家となり、老朽化の進行や雨漏りなどのリスクが高まります。
さらに、固定資産税は利用していなくても毎年発生し、長期化すると負担が積み重なります。
このように、売るか貸すか、自分で住むかを早めに整理することが、経済面と安全面の両方で大きな意味を持ちます。

また、相続で取得した家については、名義を整理するための相続登記が令和6年4月から義務化されています。
登記名義が被相続人のままでは、売却契約も賃貸借契約も実務上スムーズに進まず、金融機関や関係先との手続にも支障が生じます。
相続登記の義務化により、相続人は原則として相続を知った日から3年以内に申請する必要があります。
そのため、まずは相続登記や名義の整理を行ったうえで、「売る」「貸す」「自分で住む」のどれを選ぶか検討することが、今後のトラブル防止につながります。

選択肢 主なメリット 主な注意点
売る 現金化しやすい 将来利用の機会喪失
貸す 家賃収入の確保 空室・修繕リスク
自分で住む・保有 生活拠点として活用 維持管理費の負担

売る場合の判断基準と税金・特例のポイント

相続した家を売るかどうか考える際には、「今後自分や家族が住む可能性があるか」が大きな判断材料になります。
将来住む予定がなく、今も別の住まいが安定している場合は、売却を前提に検討しやすいといえます。
また、物件が遠方にあり頻繁に通えない、建物の老朽化が進み管理が負担になっている場合も、売却によって手間や費用の軽減が期待できます。
加えて、周辺の不動産市況や人口動向などから資産価値の上昇が見込みにくいと判断される場合は、価格が大きく下がる前に売却するという考え方も重要です。

相続した家を売るときには、売却益に対する税金の仕組みを押さえておく必要があります。
家を売却して利益が出た場合、その差額は「譲渡所得」として所得税や住民税の課税対象になります。
譲渡所得は、おおまかに「売却価格」から「取得費」と「譲渡費用」を差し引いて計算しますが、相続した家では取得費の資料が残っていないことも多く、その場合は概算取得費(売却価格の一定割合)を用いる方法があります。
さらに、相続税がかかった財産を売却する場合には、「相続税申告期限の翌日から3年を経過する日まで」に売却すると、支払った相続税の一部を取得費に加算できる特例があり、税負担を抑えられる可能性があります。

相続した空き家を売却した場合には、一定の要件を満たすことで譲渡所得から最大3,000万円までを差し引ける特別控除が設けられています。
対象となるのは、おおむね被相続人が1人で居住していた古い家屋や、その家屋を取り壊した土地などで、耐震基準を満たすようにリフォームするか、取り壊して土地として売却することなどが条件とされています。
また、売却価格には上限があり、適用を受けるためには譲渡した年分の確定申告で必要な書類をそろえることが求められます。
この特例は適用期限や対象期間が定められているため、いつまでに売却するかというスケジュールを含めて検討し、他の特例との重複適用の可否も含めて慎重に確認することが大切です。

判断項目 確認のポイント 売却が向く傾向
今後の居住予定 自分や家族の居住計画 誰も住む予定がない
管理のしやすさ 距離や老朽化の程度 遠方や管理負担大
資産価値の見通し 周辺相場や人口動向 価値上昇が見込み薄
税金の影響 譲渡所得税と特例 特例活用で負担軽減

貸す場合の判断基準と収支・リスクのチェック

相続した家を貸す選択は、将来自分や家族が住む可能性がある場合や、売却による一時金よりも毎月の家賃収入を重視したい場合に検討しやすい方法です。
たとえば転勤などで一時的に自宅を離れているような事情があるときは、売ってしまうより貸しておく方が柔軟に戻りやすくなります。
また、売却価格が想定より伸びにくいときでも、一定の賃料収入を確保できれば、長期的な資産活用につながる可能性があります。
ただし、賃貸経営には空室や修繕などの負担もあるため、家族の意向や管理体制も踏まえて検討することが大切です。

次に、賃貸に出す際には収支とリスクの両面を具体的に確認する必要があります。
建物が古い場合は、入居者を募集するための修繕やリフォーム費用が必要となることが多く、その金額や回収までの期間を見積もっておくことが重要です。
また、空室期間が発生すると家賃収入が入らない一方で、固定資産税や火災保険料などは支払いが続くため、余裕を持った資金計画が求められます。
賃料収入は所得税や住民税の対象となり、必要経費を差し引いた不動産所得として申告することになりますが、その前提として借地借家法に基づく貸主・借主の権利関係を理解し、安易に解約できない契約である点にも注意が必要です。

さらに、相続税評価との関係も、貸すかどうかを判断する上で重要な視点になります。
国税庁の財産評価基本通達では、住宅を貸家として利用した場合や、その敷地が貸家建付地となる場合には、自用の家屋・土地よりも相続税評価額が一定割合で下がる仕組みが定められています。
このため、将来の相続や生前贈与を見据えて、相続した家を賃貸に活用することで、資産を維持しつつ相続税負担を抑える効果が期待できる場合があります。
ただし、賃貸として継続利用することが前提となるため、家族のライフプランや今後の住み替えの可能性なども含めて、長期的な視点から検討することが欠かせません。

確認項目 主な内容 検討の方向性
将来の居住予定 自分や家族が住む可能性 戻る予定なら賃貸活用
賃貸の収支見通し 家賃・修繕費・税金負担 長期で黒字なら貸す選択
相続税評価への影響 貸家・貸家建付地の評価 将来の相続対策として検討

相続・離婚など事情別に考える「売るか貸すか」の整理ポイント

相続で家を取得した場合は、まず家の所在地や周辺環境を冷静に確認することが大切です。
次に、築年数や耐震性、これまでの修繕履歴から、今後どの程度の管理負担や修繕費用が生じそうかを整理します。
さらに、自分や家族の生活拠点との距離、通勤や通学の利便性なども含め、現実的に利用できるかどうかを見極める必要があります。
そのうえで、家族全員の意向と、相続税や生活費の支払いに充てるための現金ニーズを比較し、売却か賃貸か、あるいは自ら居住するかの方向性を検討していきます。

一方、離婚に伴う自宅の扱いを決める際には、名義人が誰かだけでなく、住宅ローンの契約者や連帯保証人の有無を丁寧に確認することが欠かせません。
そのうえで、残っている住宅ローン残高と、自宅を売却した場合に見込まれる売却価格との差額を把握し、完済の可否や不足額の負担方法を検討します。
また、子どもがいる場合には、通学環境や友人関係が急激に変わらないよう、居住環境の安定をどの程度優先するかを話し合うことが重要です。
養育費や生活費の負担とのバランスも踏まえつつ、自宅を売るか、どちらか一方が住み続けて所有やローンをどう整理するかを検討していきます。

売るか貸すかを決めきれない場合は、まず何を優先したいのかを明確にすることが整理の第一歩です。
例えば「毎月の収支の安定」「将来の相続対策」「今すぐの現金確保」など、優先順位を紙に書き出し、家族間で共有しておくと判断しやすくなります。
専門家へ相談する前には、不動産の所在地、建物と土地のおおよその面積、築年数、固定資産税額、住宅ローン残高や金利、相続人や元夫婦それぞれの意向などを一覧にまとめておくと、相談が効率的に進みます。
こうした情報を整理した整理シートを用意しておくことで、売却と賃貸の収支やリスクを比較しやすくなり、自分たちに合った選択肢を見つけやすくなります。

相続で確認する項目 離婚時に確認する項目 相談前に整理する情報
所在地と周辺環境 名義人と共有持分 土地建物の面積
築年数と耐震性 住宅ローン残高 固定資産税の金額
家族の利用意向 子どもの居住環境 相続人や家族の意向
修繕費と管理負担 養育費との負担バランス 今後の現金ニーズ

まとめ

相続した家を「売るか貸すか」は、感情だけでなく数字と将来像で整理することが大切です。
家の場所や築年数、管理負担、家族の希望、現金の必要度を一つずつチェックすれば、方向性が見えやすくなります。
また、売却時の税金や特例、賃貸にした場合の収支や相続税評価への影響など、専門的な確認も欠かせません。
当社では、お客様の事情を丁寧に伺い、売却と賃貸のシミュレーションを比較しながら最適な選択を一緒に考えます。
判断に迷われている方は、まずはお気軽にご相談ください。


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新里 敏春

◇沖縄県出身 業界歴6年

◇保有資格:損害保険/生命保険/募集人資格※

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