
太陽光発電の住宅売電の仕組みとは?導入前に知りたいポイントまとめ
太陽光発電付きの住宅を購入すると、ご家庭で使う電気を自分で生み出せるだけでなく、余った電気を売ることもできると聞いたことはありませんか。しかし、その仕組みや本当にお得になるのか、具体的なイメージが湧きづらい方も多いかもしれません。この記事では、「太陽光発電 住宅 売電 仕組み」というテーマをもとに、太陽光発電の基礎から売電の仕組み、今後の制度変更、さらには導入タイミングの重要性まで、知っておきたいポイントを分かりやすく整理して解説します。
太陽光発電システムとは何かとその基本仕組み
太陽光発電システムとは、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換し、住宅で使える形に整える仕組みです。代表的な太陽光パネル(太陽電池モジュール)は、光起電力効果を利用し、P型とN型のシリコン半導体が接合された部分に光が当たることで電気が生じます。まるで小さな乾電池のような状態を作り出し、電流が流れる仕組みです。
この直流で生成された電気は、接続箱でまとめられた後、パワーコンディショナ(パワコン)に送られます。パワコンは直流を家庭で使える交流に変換する装置であり、発電量を最大にする制御(最大電力点追従制御)や、逆潮流を防ぎ安全に系統連系する機能、自立運転機能などを備えています。
発電した電気は、次のような使い道があります:まず、住宅内の電力として自家消費し、不足時には電力会社から購入することができます。余った場合には電力会社に売電することも可能です。また、蓄電池がある場合には電気を蓄えて、夜間や停電時に活用できます。
| 段階 | 役割 | 仕組み |
|---|---|---|
| ① 太陽光パネル | 光→直流変換 | P型・N型シリコン接合部で発電 |
| ② パワーコンディショナ | 直流→交流/制御 | 発電効率最大化・安全制御・停電対応 |
| ③ 使用先の選択 | 自家消費・売電・蓄電 | 住宅内消費・売電制度・蓄電池連携 |
売電とは何か、固定価格買取制度(FIT制度)の仕組み
まず、売電とは住宅で発電した余剰電力を電力会社に売ることをいいます。住宅用太陽光発電(10kW未満)では、まず家庭内で使い、余った電気を「固定価格」で10年間買い取ってもらえる制度が適用されます。これが固定価格買取制度(FIT制度)です。買い取り価格は年度ごとに決まり、認定を受けた時点から10年間有効です。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 対象 | 住宅用(10kW未満) | 余剰電力の買い取り |
| 買取期間 | 10年 | 認定年度から開始 |
| 価格設定 | 年度ごとに固定 | 毎年見直しあり |
具体的な推移を見ると、2012年度には1kWhあたり42円であった売電価格は、年々下落し、2024年度には16円となりました。そして、2025年度は1円下がって15円/kWhとなっています。
このように売電価格が下がっている背景には、太陽光発電システムの設備費用が市場の拡大と競争により低下していることと、再生可能エネルギーの普及に伴う再エネ賦課金の負担増を抑えるために制度的に価格を調整していることがあります。
また、2025年10月以降に新たに制度認定を受けた住宅用のシステムについては、「初期投資支援スキーム」が導入されます。これは導入後の最初の4年間は高めの売電価格(24円/kWh)、その後の6年間は低めの価格(8.3円/kWh)で買取るという二段階方式です。平均化すると約14.6円となり、市場動向やご家庭の収支計画に応じた選択が重要です。
売電より自家消費が経済的になっている理由
現在、日本では売電より自家消費が経済的に有利な時代となっています。その背景には、電気料金の上昇と売電価格の低下という二つの大きな要因があります。
| 要因 | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 電気料金の上昇 | 家庭向け電気料金は1kWhあたり約30〜40円まで上昇 | 自家消費することで高い買電コストの節約になる |
| 売電価格の低下 | 売電単価は15円前後、卒FIT後は8〜9円程度 | 売電による収入が少なく、自家消費優先の傾向に |
| 再エネ賦課金の負担軽減 | 自家消費すれば買電を避けられて再エネ賦課金も回避可能 | 1kWhあたり数円の「二重の節約」効果 |
たとえば、電力会社からの買電が1kWhあたり約33円、売電価格が約15円の場合、自家消費は節約効果約33円に対し、売電による収入は15円にとどまります。つまり、自家消費によって得られるメリットは売電の2倍以上です 。
さらに、卒FIT後(固定価格買取期間終了後)の売電単価は7〜9円ほどに落ち込む一方、家庭向け買電単価は25〜30円以上が一般的です。この差は大きく、自家消費による節約が圧倒的に有利になります 。
また、再生可能エネルギー普及のための再エネ賦課金も自家消費の節約効果を押し上げる要素です。自家消費すれば電気を買わずに済むだけでなく、再エネ賦課金の支払も不要になります。この「二重取り」の効果によって、1kWhあたりの価値はさらに高まります 。
以上の状況から、太陽光発電を導入する住宅では、売るより使うこと、すなわち自家消費を優先することが経済的に賢明な選択であると言えます。
今後の制度変更と導入タイミングの重要性
まず、いま注目すべきは、経済産業省が定めた住宅用太陽光発電(10キロワット未満)に関する新しい制度の変更です。2025年10月以降、「初期投資支援スキーム」が導入され、売電価格が以下のように二段階で設定されます。
| 期間 | 買取価格(1キロワット時あたり) |
|---|---|
| 導入から4年間 | 24円 |
| 5年目以降から10年まで | 8.3円 |
この仕組みにより、導入の初期段階で効率よく投資回収できるようになっていますが、その後売電価格が大きく下がるため、長期的な収益を見据えた導入判断が求められます。
次に、申請や契約のタイミングが非常に重要です。たとえば、2025年上半期(4月〜9月)に契約すれば、売電価格は10年間15円で固定されます。一方、2025年10月以降に契約すれば、上記の二段階スキームが適用されます。つまり、「どちらを選択するか」により、収支の安定感や資金回収の速度が大きく変わります。
さらに、制度の変更は今後も進む見込みです。2026年度以降もこの二段階スキームが継続される一方、売電収入よりも、自家消費や蓄電池との組み合わせによる電力の効率的な活用が、経済的かつ実用的な選択肢となります。災害時の電力自立性や電気代削減といった視点も踏まえると、制度の変化に対応した導入時期と設備構成の検討が非常に重要です。
まとめ
太陽光発電システムの住宅導入には、発電から家庭利用や売電にいたる仕組みや、国の買取制度による経済的メリットを正しく知ることが大切です。近年は売電価格の低下により、自家消費を重視する傾向が進んでいます。また、今後の制度変更や申請のタイミングによって条件が大きく異なるため、早めの準備が重要です。太陽光発電は電気代削減や災害時の備えにもつながるため、安心で賢い暮らしを目指したい方にこそ最適な選択肢といえるでしょう。
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